大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)1382 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人川合五郎の上告理由第一点について。

第一審判決理由を引用する原判決が、判示事実関係のもとに、上告人は本件賃借

家屋を賃貸人である被上告人に無断で転貸したものであり、右は被上告人に対する

著しい背信行為であつて、被上告人は民法六一二条により本件賃貸借契約の解除権

を取得したものであると判断したのは、これに対応する証拠関係並びに右認定事実

に徴して首肯するに足り、その判断の過程において所論のような違法はない。所論

は、原審の認定しない事実ないし原審の認定に反する事実を主張し、独自の見解に

基づき、原判決を非難するものであつて、採るをえない。

同第二点について。

無断転貸により賃貸借契約の解除権が発生した場合においても、解除権を行使す

るかどうか、また何時行使するかは賃貸人の任意であるから、賃貸人が無断転貸の

事実を知りながら異議を述べずに賃借人から賃料を受取つたという一事のみにより、

転貸についての黙示の承諾があつたものと認めなければならないものではない。本

件において、上告人は、被上告人は上告人が本件家屋を他に転貸した事実を知りな

がら異議を述べずに家賃を受取つた旨主張するにとどまり、他に転貸について賃貸

人本人の黙示の承諾があつたことを認めるに足る事実を何ら主張、立証していない

のであるから、たとえ被上告人自身において上告人の転貸の事実を知つていたもの

であつて原判示に所論のかしがあるとしても、被上告人が上告人の転貸につき黙示

の承諾を与えたものとはいえないとした原判決の判断は首肯するに足り、上告人の

右抗弁を排斥した原判決は正当である。論旨は理由がない。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

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